漢陽陵博物館―中国雑感〔20〕―

 2016年10月17日(月)午前、漢陽陵博物館を参観しました。西安市北郊外の渭河北岸台地上には、初代高祖劉邦の長陵以下、7つの皇帝陵が東西に並んでいます。景帝陽陵はその最も東にあります。前漢第6代皇帝景帝劉啓(BC188~141)の陵園を1990年代に発掘調査したのを基盤に、本博物館はその遺跡の保存・展示を行なっているものです。2003年5月1日に本博物館は「陽陵南闕門遺址」展示をもって開館し、以後さらに展示を広げて現在に至ります。外藏坑遺址保護展示庁・南闕門遺址保護展示庁・宗廟遺址・考古陳列館からなり、この順で参観するのがいいでしょう。開館時間は8時半~19時(3~11月)・8時半~17時半(12~2月)、入場料90元(3~11月)・65元(12~2月)です。西安市内からの交通は市内バスの遊4路(市図書館発 運行時間8時30分・10時20分・12時・13時40分・15時20分・17時 2元)で終点の漢陽陵博物館下車です。市図書館へは地下鉄2号線市図書館站(駅)下車(C・D出口)か火車站西発の市内バス266路(2元)がいいでしょう。

 今回は時間的関係もあり南闕門遺址保護展示庁と外藏坑遺址保護展示庁の参観のみです。何れも名の通り発掘した遺跡をそのまま保存・展示している展示館です。まず、南闕門遺址保護展示庁からです。皇帝陵封土は塀で取り囲まれて、東西南北にそれぞれ門建築が設けられていました。もちろん南門が正門で、この遺址が南闕門遺址で、これに保護の建物を建設して保護・展示したのが本展示庁です。最初の写真1は、南の入口から入って、西側の遺址へと行き、ここから撮った門道及び東側遺址です。手前右の空間は外塾で、手前左側は内塾です。

 写真2は、奥へと延びる主闕台です。中央に見える穴は柱跡です。

 写真3は、副闕台で、先端が垣墻です。奥の主闕台中央に見えるのは木柱遺存です。闕台の回りの平面部が回廊で、さらにその外側の石を敷き詰めたところが散水です。

 写真4は、東側遺址の副闕台です。西側のそれとは遺存状態が異なります。

 次いで、外藏坑遺址保護展示庁です。外藏は陵封土の四周に81座設置されていました。本展示庁は東北10座の外藏坑上に地下建築を建設して保護・展示したものです。写真5は、18号坑で、ご覧のように人俑陶が置かれています。前漢の人俑は秦に比較して小型となっていますが、量的には劣りません。また、裸なのは衣類が腐食して残っていないからです。他の坑の中には動物俑(豚など)や壺等各種のものが置かれています。

 写真6は、木車馬遺址です。これに見るように、木車馬とこれに随う人俑も出土しており、木車馬と随員の列の復元展示もあります。

 最後の写真7は、1997年9月、南闕門遺址を発掘中に参観した時、陵頂上から南闕門遺址を俯瞰撮影したものです。なお、その奥に見える道路は西安咸陽国際空港(1991年開港)への専用道です。現在は本博物館へのアクセス道ともなっています。

 なお、フォトアルバム「西安・漢陽陵博物館」はhttps://1drv.ms/f/s!AruGzfkJTqxngscN3PgH3jEoeapifQです。また『漢陽陵国家考古遺址公園』公式サイトはhttp://www.hylae.com/です。

(2016.10.31)

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About kanazawa45

中国に長年にわたり在住中で、現在、2001年秋より、四川省成都市の西南交通大学外国語学院日語系で、教鞭を執っています。 専門は日本中世史(鎌倉)で、歴史関係と中国関係(成都を中心に)のことを主としていきます。
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