平楽古鎮―成都雑感〔142〕―

2013年3月11日(月)、講義の休みの日に平楽古鎮に行ってきました。そこで、本古鎮を紹介します。平楽鎮は成都市邛崍市にある鎮で、成都市街から西南93kmに位置し、邛崍市市街の西南18kmにあります。南西から北東に流れる白沫河両岸に街は広がり、南シルクロードとして、茶馬古道(チベットへの交通路)の宿駅として栄え、また河川交通の港町でした。この点で、成都市郊外、双流県黄龍鎮と並ぶ港町の代表です。明清期の古建築が20数万㎡ほど保存修復され古街となっています。本古鎮は2004年2月に国務院から全国重点鎮に指定され、四川省から十大古鎮に指定されました。平楽鎮は古くは「平落」と称しており、古蜀王国開明王の時から集落をなしたとされ、夏王朝の始祖大禹の治水に関係した地とされ(白沫河の「一河三分水」)、2000年以上の歴史を有する鎮とされています。歴史上確実に存在が確認されるのは10世紀後期の北宋の時代です(火井県平落)。現在の平楽鎮に改名されたのは1993年3月です。

 成都市からの交通です。バス利用は新南門発の平楽古鎮行直通があります。午前は8時半・9時20分・10時(最終は17時15分。繁忙期には増便あり)で、運賃29元、所要時間約2時間強です。帰りは、茶館での休憩時間を含め主要部の観光時間は3~4時間程度で、平楽客運站発新南門行が14時・15時・16時半(最終は17時25分。他、9時・12時)で、運賃27元です(四川省では成都入り便は少し安価です)。他には城北客運站・金沙客運站・石羊場客運站発の邛崍市行がありますから、邛崍客運站下車で、平楽古鎮行のミニバス(4.5元)に乗車し平楽古鎮に行けます(帰りも同様)。

 平楽客運站から、道(茶馬大道)を右手(北)に取り、最初の十字路(ここで邛崍客運站行のミニバスが客待ち)を渡り、次の十字路の先に禹王古街牌坊が立っており、写真1の禹王古街となります。本古街は中心商業街で、現在では衣料関係の店が多く並んでいます。もちろんお土産屋とみられる店もかなりあり、観光化していますが。写真はその中間にある台子壩街(東)への角にある復原した古戲台(古典野外演劇場)を過ぎた奥から撮ったものです。ちょうど地元の人とみられるおばさんが歩いていました。

 禹王古街の突き当たりで、道が左右(東西)に分かれます。道を左(西)と取ると長慶古街です。ここは本来竹器関係の店が並んでいた街です(四川省は竹の産地)。当地特産の「豆鼓・豆腐乳」の老舗や少数民族(ナシ族やチベット族)の店もあります。食べ物関係の店も多く、また土産物屋など観光化もされていますが、ミシンを踏んでいるおばさんが開いている仕立て屋や日常品を商う店もあり、住民の生活を垣間見ることが出来ます。写真2は、竹器などを商う店で、御覧のように上部に独特な装飾があります。

 写真3は、長慶古街の路地の様子です。手前の店はチベット族関係の店です。

 長慶古街をさらに進むと、写真4の古榕樹の所に出ます。樹齢500年以上の古榕樹(カジュマル)が白沫河沿いに13本ほどあり、写真のは樹齢1000年以上と推定されています。長慶古街は福恵古街(西)・閭巷街(南)・福恵橋(北)との十字路となっており、写真は福恵橋上から撮ったものです。

 写真5は、福恵古街に入って撮ったものです。本古街には多くの客棧(民宿的宿泊施設)が営業しています。写真はその一つの客桟にぶら下げられている旗です。御覧のように、エアコン付きで、四川省らしく麻雀設備付きです(四川人は無類の麻雀好き)。

 道を戻り、東に順河古街に入ります。名前の通り、白沫河に沿っています。ここも多くの客桟が営業しており、さらに川辺に茶館を開いています。写真6は、その途上から東に撮ったものです。後方に見えるのが楽善橋で、石のアーチ橋(7つ)で、清の同治元(1862)年に建造されました。このたもとに埠頭が設けられ、水運の中心となりました。

 順河古街を進むと、私奔碼頭(埠頭)に出ます。さらに進むと、八店古街に出ます。本古街は埠頭に隣接しており、交易の中心となりました。写真7は、古街を出たところ、楽善橋のたもとから撮ったものです。御覧のように橋には建造当時の石獅子があります。その奥の店は「王氏鉄匠鋪」(鍛冶屋)です。100年3代の歴史を持つ店で、現在も鉄を打つそうです。古には当地には製鉄業と塩業がありました。

 最後の写真8は、順河古街にある茶館です。ここで茶(茉毛素茶〔ジャスミン茶〕15元。最高は鉄観音茶35元)を喫して時間を過ごしました。以上が古街の主要部ですが、白沫河対岸にも街は広がっており、河畔には多くの茶館が営業しています。なお、繁忙期となると、川には竹筏が浮かびます。

なお、フォトアルバム「成都(邛崍市)・平楽古鎮」はhttps://1drv.ms/f/s!AruGzfkJTqxngpks1fadNNUdDraHjwです。また、『平楽古鎮』http://www.plgz.com/rwpl/dt/もあります(中国語・英語)。

(2013.03.12)

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About kanazawa45

中国に長年にわたり在住中で、現在、2001年秋より、四川省成都市の西南交通大学外国語学院日語系で、教鞭を執っています。 専門は日本中世史(鎌倉)で、歴史関係と中国関係(成都を中心に)のことを主としていきます。
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